比較的見かけることが少ない「きびら麻」素材ののれん
のれんは、イメージを大きく決めてしまう素材な為、
素材選びからしっかりと行うことがことが重要です。
種類には麻、絹、ポリエステルの3種類があります。
素材によっても、製法によっては素材が異なり
仕上がり、イメージなども大きく変わってしまいます。
特にきびら麻は、芋麻でハリ、コシのある生地なために
日本では古くから、親しまれてきた素材です。
そんな「きびら」の素材を使用したのれんを、京都でオーダーすることが
出来ますので、特徴をご紹介していきたいと思います。
1番の特徴として素材は、麻の中でも本麻を使用しているために
繊維と繊維の間に隙間があり、機械織りでは再現することの出来ない
自然な風合いを出しています。
また麻本来の色が生かされているのがきびら麻で、使っているうちに
なんとも例えようのない独特の味が出てくる素材です。
そしてとても繊細で上品なイメージを演出することも可能で、
和風だけではなく洋風のどちらのイメージにも合すことの出来る優れた素材です。
麻の醍醐味でもある透け感は、空間をやんわりと区切ることを実現しています。
特に濃い色の麻の方が透け感があるため、黒色が1番透け感があります。
そして、元の生地の色は、綺麗な生成り色のため、文字、ロゴのみ染められる方も
多いですが、生地全体を染めることで、上品な仕上がりにもすることが出来ます。
是非、使いたいと考えている方には、京都で上品なのれんを作ってみてはいかがですか。
麻織物の歴史|日本における麻織物の役割とは
麻織物は、古くはエジプト先王朝時代にいわゆるリネンのドレスが発見されており、また同時期にはリネンの布を巻く
ミイラ作りも始まっていたとされています。
またエジプトのファイユーム地方ではミイラの棺の顔の部分にリネンとみられる布が貼られており、そこに死者の肖像が描かれていました。
日本においても古くから麻織物として大切にされ、一般大衆だけでなく神道において重要な麻衣が調達されています。
平安時代の「延喜式」にも、天皇即位の大嘗祭には神服としての麻で織った服を調進すると定められているという記載がみられ、
江戸時代には麻織物の縫製技術がいっそう進んだことによって、より上質なものは上布といわれ幕府に献上されています。
正倉院にはさまざまな麻が多く保存されていますが、それ以降の江戸時代までの麻布はほとんど残っていません。
正倉院が所蔵するのは、「繍線鞋」という麻布と絹で作られた靴で「ぬいのせんがい」と読みます。
これは孔明皇后が献納したものです。もう一つは屏風袋の麻布の断片で、越後国の記載がみられています。
このように麻織物は日本において古くから、一般庶民だけでなく朝廷貴族にとっても非常に重要な意味を持つ織物として大切にされてきました。