のれんが活躍する場面

暖簾には変体がよく似合います

のれんを製作する前に考えたいこと老舗の店舗、特に蕎麦屋和食等の暖簾を見ると、一体何と書いてあるのだろうと思うような文字が書かれていることがあります。

店頭のれん
このような文字のことを多くは変体仮名と呼んでいて、蕎麦屋が描かれている江戸時代などの
浮世絵などを見てみると、漢字やひらがな、変体などが暖簾に自由に使われています。
つまり文字そのものよりも、音が重要だったことがわかるでしょう。

江戸時代には文字や意味によって言葉や音が先行していたことを頭に入れておきましょう。
それが明治時代に入り変化が見られるようになりました。
まず標準語を設けるようになり、つまり統一された仮名が出来上がったと言うことです。

明治中期からは東京山手で使われていた言葉を標準語に用いるようになったのです。

同じように仮名に関しても明治33年の法律により、現在のひらがなが決まり、
それ以外のひらがな文字を変体と区別して呼ぶようになったのが始まりです。

当初は暖簾は無地だったのですが、だんだんと桃山時代位から図柄の入ったものが
作られるようになり、江戸時代になり現在のような形の暖簾が出来上がりました。

役割の1つには広告媒体の使命がありますが、このように統一された仮名で表記するようになった事は、
結果として業界全体の統一イメージにもなったと言えるでしょう。他の業界には見られない珍しい現象なのです。

このような字体の暖簾は和食店にお勧めです

統一された仮名以外のひらがなのことを変体仮名と呼ばれることがわかりましたが、
このような字が使われている暖簾は、天ぷらや寿司屋など、日本料理の特に老舗に多いと言えるでしょう。

ひらがなの始まりは10世紀初頭とされていますが、漢字をもとに読みやすく柔らかな仮名文字が生まれたのです。
この字のもとになった漢字のことを字母と呼んでいます。仮名は漢字を崩したものであることから、
あと発音する漢字の阿や安を元にしたが存在しています。暖簾と文字

つまりあと発音する感じのすべてから、作ろうと思えば作れるだけの仮名を作ることができたのです。
仮名が誕生するまでは、日本人は母国語の発音に似た漢字を当て字に使っていたと言うことです。

小学校令が施行されてからは、学校教育で使うひらがなは1つの音につき1文字、
全部で48文字と決まりが作られました。標準のひらがなに対してここから除外されたものが
変体仮名と呼ばれるようになったのです。

現在では老舗の蕎麦屋や天ぷら屋、書道などといった限られた部分でしか見られなくなったと言えるでしょう。

混乱を生むことから現在ではあまり見られなくなった字体ですが、かなり味のある字であることがわかるでしょう。
もともとどのような漢字が使われていたのかを考えながら、街にある蕎麦屋や天ぷら屋などの暖簾を見てみるのもまた楽しいものです。